マイ フェイバリット シングス
シーツにくるりと包まって、ちょっといたずらっぽい目をしてリンはオレ見つめる。
「レンの好きなものってなあに?」
「はあ?」
「だ・か・らー、レンの好きなものッ」
ニコニコとひっついてきながらリンは聞いてくる。
オレはリンのさらさらの髪を手櫛で梳きながら、
「バナナ・・・とか?」
と答える。
「あ、じゃあリンはみかんだ」
質問の意図をよく掴めていないオレに、リンは他には?と催促してくる。
「犬?」
「リンは猫のほうが好き」
ああ、交互に好きなモノを答えればいいのね。
やっとリンが何をしたいのか理解した。
「うーん、黄色」
「オレンジ」
「月」
「太陽」
「歌うこと」
「あっ、それは同じ。でもレンはロックでしょ、リンはポップスかな」
演歌じゃねぇの?からかい半分にちゃちを入れると、
ちがうもんと、ぷぅーっとむくれる。その様子があんまりにも可愛いから頬にちゅっとキスをする。
もう、と言いつつもリンの顔は赤い。いつまでたっても初々しいのだ。
「ドーナッツ」
「プリン」
「海」
「空」
同じように応答は続く。
「夏かな。暑いほうが寒いよりマシ」
「えー寒いほうがいいよ!暑いと溶けちゃうもん」
そう言った傍からリンがくしゅんと小さなくしゃみをした。
あんまり寒すぎるのはどうかと思うよ、そう言ってリンのむき出しになっている肩をぐいっと引き寄せる。
案の定その肩は冷え冷えとしていた。
「うーん、そうだけどさ・・・もう終わり?」
リンが期待の瞳でオレを見てくる。
「リンが言ったら言うよ」
オレがニヤニヤ笑ってると、むぅーっとまたリンはむくれる。
その顔には書いてある、レンのイジワルって。
しばらくニヤニヤしてるオレとむくれてるリンの駆け引きは続いたが、
諦めたのかリンがふぅっと小さく息をはく。
「・・・・・・レン」
「リン」
よくできました、と言うようにオレもすぐに答えて抱きしめる。
もーレンに先に言わせる予定だったのに!とリンは赤くなってシーツに顔をうずめる。
そしてそんなリンの顔をクイッと持ち上げて口付ける。
最初は軽く。
二度目は深く。
リンの瞳はどんどん潤んでいって、体はきっと持て余した熱でいっぱいだろう。
唇を離し、引き返せないことをわかっていながら確信犯的に聞く。
「もう一回してもいい?」
ゆっくりと瞼を閉じてリンは頷く。
オレはリンに三度目の口付けをする。
漏れる声も全部受け止めて、本日二度目の遊戯を始めようじゃないか。