半分は優しさ

女の子は色々大変、っていうのを男の子に理解してもらうのはなかなか難しい。

「うぅっーお腹痛い・・・。」

いわゆる女の子の日。
まだ周期も安定してなくて慣れていない上に、2日目の腹痛はなかなかキツめ。
みんなの前ではそんな素振りは見せなくても、一人だとついつい弱気になってしまう。

とりあえずさっき痛み止めの薬を飲んだので、あとは効くのを待つだけとベッドに横になる。
圧迫感のある痛みに、薬よ早く効けと念じる。お腹に腕を回し、身体を九の字型に曲げる。
こうしていると痛みが少しだけやわらぐ気がする。

ガチャリ、とドアの開く音がした。
顔を少し上げると、そこにはレンが立っていた。

「あれ、リン具合悪いの?」
「・・・うん、少しだけ」
さすがに生理痛とは言いづらくって言葉を濁す。

「でも、なんかすごく顔色悪いよ、薬飲んだ?」
心配そうにレンが覗き込んでくる。

「・・・飲んだから、へーきだから」
とは言いつつもギリギリと蝕むような痛みは増すばかりで、
私は思わず身体をさらに折り曲げる。

「なぁ、本当に大丈夫?病院行ったほうがいいんじゃない?」
レンが私の額に手を当てて熱を確かめる。

「だいじょうぶ、だからっ」

「でも・・・」
心配するレンの言葉を遮って私は言った。

「・・・だから」
「えっ・・・?」

「生理痛だからっ」

一瞬間があいてレンが顔を真っ赤にしてわりぃとあやまる。
私も恥ずかしくなってレンに背を向ける。


気まずい空気が流れる。
男の子と女の子の違い。
男の子には理解しづらい痛み・・・。

「その、やっぱりツライ?」
レンが尋ねる。

「うん、ちょっとだけ」
その疑問に私は素直に答える。心配してくれているのがわかるから。

ギシッとベッドがきしむ音がしたかと思うと、レンがベッドに腰かけていた。
私は向きを変えてそちら見る。

「こんなことしかできないけど・・・」
レンがそっと私のお腹に手を添える。
薄い毛布越しに伝わるレンの手の感触、温かさ。

「手当てって、手を当てることが語源らしいよ。」
「なにそれ」
レンの言葉に私はくすっと笑う。
薬が効いてきたのもあってか、ゆるゆると痛みが引いていくのがわかる。

「手、あったかくて気持ちいい」
私はぬくもりが心地よくって段々と眠くなる。

「ねえ、少し寝てもいい?」
「うん?いいよ」
レンがふわりと微笑んだ。
私はレンの優しさと温かさに甘えて、静に目を閉じる。

男の子と女の子。
同じではないけれど、違いを理解してくれる。
その優しさが今はとても嬉しかった。