夜間の羽化

じっとしているだけでも汗が滲んでくるような夜なのに、
こうやって肌を重ねて、こんな行為を繰り返して、
自分達はなかなか気が狂ってるんじゃないかって思う。

汗でしっとりと湿ったリンの腰に指を這わせると、
お決まりのようにリンは反応する。

ハアハアと荒い呼吸。
うっすらと涙がにじんだ瞳。
上気して赤味を増した頬。
腕の皮膚の滑らかな柔らかさ。
日に当たらない腿の内側の眩しいくらいの白。

その全てが艶かしくて、自分の衝動が抑えられないのがわかる。

お互いそろそろ限界だろう。
そう思ったとき、

「ねぇ、、っレンっ・・・」

振り絞るようなリンの声が聞こえる。

「チョウのさなぎって、ぁどうやって、、チョウになるか、しってるっ・・・?」

乱れた息でゆっくりとリンが尋ねてきた。
なぜこのタイミングでそんなことを、そう思っていたら、

「さなぎになるとね、溶けちゃうんだって、全部。どろどろに。」

さっきより大分呼吸が整った声でリンが告げる。

「それでね、どろどろになって、そこからチョウの形になるんだって」

少しばかり挑戦的なリンの視線に思わずゾクリとする。
それと同時にリンが何を言いたいのか分かり、自身の熱が上がった気がした。

「まるで今のオレらみたい?」

コクンと頷いたリンを見て、ああやっぱりと納得した。
やっぱりオレ達は考えが似ているのかもしれない。
そしてリンに大分余裕が戻ってきてるのが妙に気に食わなかった。

「じゃあ、もっと溶けよう」

耳もとでささやいて、更に奥まで一気に押し付ける。
身構えていなかったリンの身体は不意の快楽にビクリと跳ねる。
緩急をつけて出し入れを繰り返す。

「っ、、、ひゃ、あっレ、ンっっ」

懇願するようなその目にますます拍車がかかる。
絡みつくようなそこはリンが言った通りぐちゃぐちゃのどろどろだ。

でも交わるだけじゃ足りない。
もっと、もっと骨も肉も全部ドロドロに溶けてしまえばいい。
だってもとは一つだったんだから。